さて、C値のことが少しずつでもご理解頂けていると嬉しいです。
暖かい家にするには、まず暖房して、その熱が逃げない様に断熱して、家中の隙間からせっかく暖房した空気が逃げない様に気密性能を上げることが基本のキです。
暖房は暖房機がしますし、断熱もお金を出せば厚い高性能なものが買えますので、ここまでは誰でもができるレベル。
しかし残念ながら、気密性能はそう簡単に上げられないのです。なぜならば、多くの大工さんや工務店、ハウスメーカーだって、今までそんな家を建てていませんから、どうやったらいいのかわからないのです。だからただ断熱材を厚くするだけで高性能と言うしかない。
百年の家プロジェクトでは、家中のスキマを集めたら65ミリ角の大きさ以下になるようにC値=0.36以下の目標をたてています。4コマを見て頂いたように、やったことのない人にはまったく無理なレベルです。
なぜ0.36以下なのか?
北欧住宅研究所の実験により、その家のC値が0.36以下になると、外で風速6mの風が吹いていても、内外温度差が30℃あっても、漏気がゼロになるということがわかっています。
外で風が吹くとすきま風が起こることは前号で説明しましたね。
内外温度差とは、外がマイナス5℃で家の中が25℃、これで内外温度差30℃。私たちの脱衣場の目標温度は26℃なので、冬の朝方に気温がマイナスになる地域ではよくある状況です。
暖められた空気は膨張し軽くなるので上昇する特性があります。冬の暖房時はその家の一番高い場所に暖められた空気が集まってもっと上に行こうと圧力をかけています。もしそこにスキマがあったら?
暖められた空気はそのスキマからどんどん逃げていきます。逃げて行かれるばっかりだと家の中の空気が無くなってしまうので、逃げた分だけ、家の床付近の低圧力の部分にあるスキマから、外の冷たい空気が吸い込まれてきます。
これを温度差による自然換気といいます。
つまり私たちの0.36以下の家は、外で風が吹いても、冬にどれだけ暖房しても、せっかく暖房した空気を逃がさない自然換気無しの性能なのです。
プロの皆さん、ただ断熱材を厚くするだけでは暖かく省エネな家はできないんですよ。
この数値が達成できると、換気による熱損失だけが暖房した空気の損失に抑えられます。
ちなみにC値=1.0の家でも0.4回の自然換気が起こります。
換気回数は0.5回なので、足せば0.9回、1時間に0.9回家の空気が入れ替わる。それは寒いし、温まらないでしょう。
寒くなるから換気を止めてしまえというプロの建築家が全国にたくさんいるのですが、その前にそれ以外のスキマをなくしましょうね。
※24時間換気は住む人の健康を守るために、法律で義務付けられていますので避ける事はできません。
次回は、ほとんどの人が勘違いして損している暖房機の選定と暖房の仕方についてです。