未病を防ぐ家づくり

■未病とは?
未病防止の家づくり百年の家プロジェクト1

「未病」とは、健康から病気に向かっている状態のことをいい、
日本未病学会の定義では、
1、検査値に異常はないが、自覚症状がある
2、自覚症状はないが、検査値に異常がある
どちらの状態も未病とされています

検査値にも自覚症状のないのが「健康」
自覚症状があり、検査値に異常があるのは治療をしているいないに関わらず「病気」
その中間の状態のことを「未病」といい、
・最近、太ってきた⇒ランニングを始める
・なんとなく疲れるようになった⇒サプリメントを飲み始めた
・タバコやお酒をやめる
など、
「未病対策」は、病気に向かっている流れを逆の方向に向け直すことを言います

■日本の死亡原因

未病防止の家づくり百年の家プロジェクト1

・3大死亡原因による死亡割合

日本の死亡原因の多くは疾病で、その中でも3大成人病の割合は6割以上
3大疾病の順位は、1位:がん、2位:脳血管疾患、3位心臓病、つづく4位が肺炎
4位までの合計は68.1%にもなります
特に最近は、喫煙率は下がっているのに肺炎が増加傾向にあると言われています

未病をふせぐ家づくり4

・高齢化進行で増加する成人病

世界一速く進む高齢化社会の日本では、高齢化に伴い成人病の割合が増加しています。
昔よりもこまめに健康診断をするようになったことや、一部には高血圧の基準値を下げたからだという人もいます
国が高齢化するというのは、長生きする人が増えたことで決して悪い事では無いと思いますが、
ネガティブに捉える人が多いのは、健康で長生きするイメージより、病気で寝たきりのイメージの方が強いからでしょう

・成人病の内訳

未病防止の家づくり百年の家プロジェクト5
成人病と言われる疾病の仲でもダントツに多いのが高血圧性疾患。
他の疾病は死亡すると患者では無くなりますが、高血圧性疾患は、それが原因で亡くなる訳ではなく、様々な疾病の入口になったり、悪化させたりすると言われています
そういった意味では、高血圧の傾向は家庭で知る事ができる未病のサインとも言えます

 

 

 

 

■住環境で変わる病気や未病

未病防止の家づくり百年の家プロジェクト6
2010年3月、家の寒さと健康リスクの関係について長年エビデンスを蓄積してきたイギリスの保健省が国民向けに冬期室内温度指針を発表しました

その内容は、家が寒いと、
・血圧上昇による高血圧性疾患リスク増大
・肺の抵抗弱体化により肺感染症リスク増大
・血液の濃化により冠状動脈血栓症リスク増大
これが原因でそれぞれ、脳卒中、肺炎、心筋梗塞で死亡するリスクが高まるので、室温は21℃以上にしましょうという内容です

つまり適切に暖房しないと未病どころか病気を引き起こし、死亡の原因になりますということを警告しています

・肺の抵抗弱体化と暖房

僕が特に気になるのは、肺の抵抗弱体化です。
欧米では家中を暖房するのはむしろ当たり前なのですが、日本ではどんでもない悪行とされています
肺の抵抗の弱体化は暖房不足によって起こる
このことを知らない日本人が多すぎるので、その対策が間違ってしまっていると言えます
これが2020年11月を過ぎてコロナ代3波の感染者が増えている原因の一つではないかと思います

2020年11月ごろからの第3派は、夜の街関連ではなく、職場などの施設や家庭内感染が増えているという報道で
有名大学の医学博士は「ウイルスは0℃付近が一番活性化するので、感染者が増えている」と言います

でもおかしいと思いませんか?
冬が寒いのは外の話で、家の中は暖房できます。
家の外が寒いから家の中が寒いって言うのは、暖房しない前提の話です
こんなことを権威ある方が言ってるからおかしくなります

同様に北海道の感染者が12月になって減ったのは、0℃を下回ってきたからだとも言ってますが、たぶん違います
北海道の方は欧米と同じようにどんな場所でもちゃんと暖房するからです

これまでも百年の家では、お客様から「風邪をひかなくなった、ひきにくくなった、ひいても症状が軽い」との声を沢山いただいており、それはインフルエンザウイルスが適切な温湿度で死滅するとの研究結果からもいえる事です

つまり、「北海道の例をみても、ちゃんと暖房すれば感染予防できる可能性があります」とも言ってもらわないと困ります
冬の暖房はコロナウイルスだけでなく、未病を防ぐためにも、とても大きな要素です

【新説】家庭内コロナ感染がふえる要因
実際、日本の普通の戸建て住宅で、
家中を23℃で暮らすには、1か月10万円以上の暖房費が掛かりますので、もったいなくて局所暖房するのはわかりますが、問題は寝ている時です
コロナ感染症では現在、飲食時のリスクが大きいと指摘されていますが、家庭感染が増大していることから考えると、同じ寝室で寝ていて、寝ている時に暖房を切って寝る人がほとんどなので、明け方に向けて室温がどんどん低下し、0℃近くになった時に感染者が上に向かって咳をすれば、相対湿度も低い寝室ではエアロゾルも永く空中に浮遊し、寝ている人に降りかかる状況で感染が拡がっているのではないかと僕は考えます
これを防ぐには別々の部屋で寝るとかマスクをして寝るとかになります

寝室の低温は、呼吸している部屋の空気が冷たい事ので、布団に入っている身体は暖かくても、呼吸している肺が冷えていきます
この肺が冷えることこそが、イギリス保健省の言う肺の抵抗の弱体化の原因で、感染症リスクが増大する理由と2010年に指摘されていることなのです

コロナによって10年前に指摘されたリスクが実証されていることになりますが、日本人が寝る時に暖房を切る生活習慣自体が、成人病やコロナ感染から家族の健康を危険にさらしていることに他ならないと考えます

つまり、どんなに適切な住環境にできる高性能な家を建てても、住む人が寝る時に暖房を切って寝たら、何にもならないのです
約10年前、百年の家に住んでいる人7件に抜き打ち訪問をした時に、きちんと暖房して頂いていた家は0件でした。
このことから、いい家を建てるよりも、その家にきちんと住んでもらうことの方がかなり難しいことを我々は知っています

■住環境を整えるだけで起床時の血圧が下がる

百年の家プロジェクトメンバーのラウレアホームが、
百年の家を建てられたお客様が引っ越しされる際に、古い家と新居で起床時に血圧を計って教えてもらいました

未病防止の家づくり百年の家プロジェクト22020年12月の第1派の寒波は、
関越自動車道で2100台の車が2日間立ち往生したくらい大寒波ででした

その日の朝、宇都宮の古い家のリビングは0℃、トイレは3℃
起床時の血圧は「141/91」

当日、新居で就寝し、起床時に測った血圧は、
「122/82」

新しい百年の家の室温は
「25.1℃/50%」です

 

 

高血圧の基準に関してはいろいろ言われておりますが、122/82なら高血圧と言われないレベルです
毎日この環境で寝起きするわけですから、寒くて欠陥が縮むこともありません
女性の冷え症も治ってしまったと報告を沢山いただきます。

これは投薬でも運動でもなく、住環境を整えただけの効果です
これが未病を防ぐ家づくりの一つです

■高性能住宅にある深刻な性能差
10年前と違って、最近はいろんな会社で高性能住宅を建てることが出来ますが、
実際に25℃/50%で暮らせている家はめったにないことをご存知でしょうか?
これは2種類あります

・25℃/50%にしていない家
お施主様が暖房の大切さを知らず、せっかく高性能住宅を建てたのに暖房はもったいないので、節約しているケース
光熱費削減、電気代が安い!と言ってるとこうなってしまい、電気代を節約するために、もっと大事な家族の健康を犠牲にしてしまっています
暖房がもったいないと感じるのは高齢者と女性に多いのが特徴です
もったいないと言ってるのにエアコンを使わずに灯油やガスを使って暖房するなど、情報がきちんと伝わってないことから起こっている悲劇です
家を建てる時の情報は建築先からしか入らないので、こういう建築先は避けるべきかと思います

・25℃/50%にしたいけどならない家
24時間計画換気というのが建築基準法で義務化されています。
すべての家は、2時間に1回、家の中の空気を全部入れ替えなさいという法律です
※コロナ対策の換気は1時間に2回入れ替えなさいと言われています

1時間あたり半分の空気が外気と入れ替わっていく中で、
25℃/50%を達成するのは実は並大抵の性能では無理です
性能とは、家の性能と暖房機の性能と加湿器の性能、すべてのことです

暖房は14畳用とか20畳用とか、
とんでもなく大きなものを家電量販店で勧められて知らずに買ってしまう人が多いので、
問題に感じることは逆に少ないと思いますが、
百年の家プロジェクトが25℃/50%を実現しているのは、6畳用のエアコンです
もしそれよりも大きなエアコンで25℃を実現しているなら、そのギャップはエアコンの能力ではなく、家の性能の差です

家の性能の違いはエアコンでカバーするしかないのです
また加湿器は現在市販のもので対応できるものはありません

さらに気密性能が0.36以下で第三種換気でないと、
温度差や風が吹くたびに自然に換気が起こってしまいますので、もっと無理になります

壁を防湿していない気密住宅

さらにさらにで恐縮ですが、大事な事なので書いて置きます
気密住宅には、壁を防湿していない気密住宅と、壁を防湿している気密住宅が存在します

壁を防湿してない気密住宅で、25℃/50%を実現できたとしても
壁の断熱材の中で大量の結露が起こっていると簡単に予想されます

断熱材がもし結露で濡れたら、もう断熱できません
どんなにブ厚い断熱材を入れても防湿していなかったら、条件がそろえば非情なことに結露が起こります
分厚い断熱材は外の冷気を室内に伝えて、中の熱を外へ放出してしまいます
※簡単に言えば、壁や天井がどんどん暖房した熱を吸って外へ逃がすイメージです

防湿しているしていないの分かれ目は、透湿抵抗が0.144(㎡・s・Pa)/ng
これは実質、JIS防湿素材の最高値ですが、防湿と呼べるのはこれ以上です

専門家の中でも、
ちょっとくらい透湿しても大丈夫とか、時間帯で全部結露する訳じゃないというメーカーや人もいますが、
そういう場合は、こんな質問をしてみて下さい
「この断熱材がもし濡れたら、壁の中で乾くのに何か月掛かりますか?」
多分、答えられないと思います
何か月?と聞かれでびっくりするでしょう

濡れている間は断熱材じゃないので、よく知らない所で建てると、
誰もよく知らない家が建ちますので注意してください

■ヒートショック・ゼロ社会の実現

ヒートショックに関しては、このHPを起ち上げた時に
⇒ヒートショック・ゼロ社会の実現を目指して

に書き留めましたが、すこし書き足したいと思います

この中では工務店に対して厳しいことを言っているように読めますが、
ハウスメーカーもビックビルダーもローコストメーカーも同じです
市場に提供している棟数から言えば、責任は工務店よりも桁違いに大きいと思います

住環境と健康の関係
住環境とヒートショックで亡くなる人の関係
これらが2010年以降、判明して久しいのに、未だに被害者はあとを絶たない
見た目やカッコよさだけで家を選んでしまうユーザーも未だに多いので、売り方を変える必要がないのです

健康や安全はすべての商品に優先する重要事項だと百年の家プロジェクトでは考えています
一般の方も
・超音波加湿器が、掃除を怠ると、ばい菌を空中にまき散らす恐れがあると聞けば敬遠します
・コロナウイルスが手指を介してうつるとわかれば、ドアノブやテーブルを除菌します

だったら
誰でも歳をとるのに、交通事故の4倍以上ヒートショックで死んじゃう家はやめるべき
2世帯住宅なのに、お風呂が寒い家なんて自殺行為なことに気づきましょう

運転手の安全なんてどうでもいい、事故で死んだって関係ない
なんて自動車メーカーの車を皆さん今時買いますか?

風呂の寒さなんてどうでもいい、ヒートショックなんて関係ない
なんてところで家を建てようとしていませんか?

コロナ感染症の防止策で、
暖房や加湿の大切さ、効果の高さ、住環境を整える大切さが注目されるようになってきました
子どもたちのために、家族の健康の為に、本当に一生懸命対策をされていますが、
コロナ感染症で亡くなるのは年間2500人、ヒートショックは毎年1万7千人以上です

コロナはマスクや消毒でも防げますが、
ヒートショックは家を建てる、リフォームしかキッカケがありません
そこはたとえお金が掛かっても優先してやるべきことだと思います

■百年の家が目指す住環境

百年の家では、6畳用エアコンで23℃/50%以上の住環境を推奨しています。
これは真冬でもハーフパンツとタンクトップで暮らしてほしいからで、
百年の家で初めて冬を迎えるご家庭には、建てた工務店が必ず抜き打ち訪問し、
ピンポンして出てきた奥様がハーフパンツとTシャツでなかったら失格ですww

この家の性能を活かしてない住み方をされているので、再指導させて頂きますよ
寝室やリビングなどの温湿度も1年間は測定しますので、暖房を切って暮らしていたら後からわかります
これは、ご家族を守る為にやっていることに他なりません

床暖房は、建築研究所の方が、「本当にもったいないからもう使わないで下さい」という代物で、
省エネの的ですが、正しい情報が家を建てる人に伝わっていないので、残念な事に未だに人気があり、
全室床暖房標準装備の家と聞くと、いいよね~なんて声をよく聞きますし、
またSNS等で床暖房は良くないことを書くとフォロワーが激減したりします(笑)

・百年の家では床暖房は使いません。

その理由は、6畳用エアコンだけで床暖房が入っているみたいに床まで温かくなるからです。
あたたかく暮らせる家には、床暖房は特別必要ないのです。
ただしエアコンで床まで温められない寒い家なら床暖房は必要かもしれません。
逆に床暖房が標準装備の家は寒い家ということにもなります
こういうことを書くからフォロワーが減りますね(笑)

床暖房の件でも南向きの家の件でも、よく、家をもう建てた人から、どうすればいいのか?という問合せがあります。
もうそれはしょうがないです。今さらどうにもできないことですからあきらめましょうと言います
ただし、家は住人に愛されないと永持ちしません。
愛情を持って住むからこそ、メンテナンスなどをしてもらえて可愛がってもらえることで、快適に住むことができます
なので、少しくらいダメな所があっても愛してくださいねとお伝えしています
誰だって完璧な人なんていませんから、家も同じかと思います

■住は聖職なり~百年の家のはじまり

住宅設備メーカーのリクシルの会長、潮田健次郎氏の言葉に、「住は聖職なり」があります。
「住宅は人が造る最高の商品である。人は住宅で育ち、住宅で愛を育み、住宅で憩い、住宅で余生をおくる。住宅は人生最大の買い物であり、最大の財産である。故に住を聖職とする者は努力して新知識を学び、技術を学び、誠心誠意仕事を行い、良い家を造ることを喜びとする者でなければならない。」
僕が昔、トステム(リクシルの旧社名)の専売店の営業マン時代に、この言葉を知り、見た瞬間に感銘を受けたのを未だに覚えています。

1990年代後半に日本の住宅業界に「シックハウス症候群問題」が起こりました。
バブル絶頂期で家やマンションをどんどん建てれば売れていく時代、工期を短くするほど儲かる時代に、建材は「簡単に直ぐに誰でもできる」ように進化します。その一部にホルマリンを含む接着剤が多用され、人が住むようになってからも、室内へホルムアルデヒドが揮発し、シックハウス症候群や化学物質過敏症などになってしまう人が沢山でました。

僕が会社の期末ボーナスで初めてWindows98の自分のPCを買い、FAXのモジュラージャックでYahoo!Japanに接続し、始めて検索したキーワードが「シックハウス症候群」で、その時に、わずか3件しか出て来なかった時代です(ちなみに今なら140万件)

当時、建材のホルムアルデヒド濃度基準は、F1~F3という基準で、自社が扱っている建材を調べてもらった所、階段材がF2だということがわかった僕は、お客さんを集めてセミナーを開催し、「うちの階段材はF2だから買わないでくれ」と言って、社長にひどく怒られました(笑)

また当時、シックハウスの原因物質はホルムアルデヒドだけではなく、全部で13物質が厚生労働省から指定されていたのですが、もっとも酷いのは、シロアリ防蟻剤に使われているクロルピリフォス(当時アメリカでは使用禁止になった)だったので、営業に行くたびに工務店さんにシロアリ防蟻剤を使うのをやめましょうよと言って廻ってました

工務店さんは、「そんなこと言ったら家が建たんよ」「シロアリに食われて家が倒れたらお前が責任取ってくれるのか?」「金融公庫でお金が借りられなくなるから出来ない」などどこに行っても撃沈で、建材は売れるんですが、だれもシロアリ防蟻剤をやめてはくれませんでした

そんな時、初めて会ったある棟梁にシロアリ防蟻剤の話をすると
偶然となりの新築現場で、まさに大工さんがシロアリ防蟻処理をしていました。
棟梁は僕に対して「あれを見てみろ。塗る人が手袋とマスクをしているだろう?あんな手袋とマスクをしなきゃダメなような危ない物をワシの家には絶対使わん」と言ったのです
※シロアリ防蟻剤は農薬と同様、劇薬なので、施工する人は必ずマスクとゴム手袋が義務付けられています。

僕は、ビックリして、今まで言われても自分が答えられなかった質問を逆にしました。
「シロアリに食われたらどうするんですか?」
「シロアリは旨い木しか食べない。俺はいい桧しか使わないからとびっきり旨い。だからめちゃめちゃ食うよ。あいつらだって生きてかなきゃならない。旨いんだから食わせてやればいい」
「食われて家が倒れたらどうするんですか?」
「倒れるわけがないだろ、倒れる前に俺が食われたところを直すから。それが木の家のいいところで、それこそが俺たち大工の仕事、役割だろう」

「じゃあ、お施主様が金融公庫でお金借りられないんじゃないですか?」
「借りられるよ」「どうして?塗らないんでしょ?」
「同じオレンジ色に薄めた水性ペンキを塗ってるから大丈夫」とペロっと舌をだして笑ったのです

この時の僕の感動が読んで頂いている皆さんに伝わるでしょうか?

2003年にシックハウス法が施行され、アメリカに遅れる事3年、日本でも住宅建築にクロルピリフォスは使用禁止になりました

法律は守るべきだと俺も思うけど、法律が間違ってたら、自分のお客を守るのが当たり前と棟梁は言いました。
話しながら涙が流れていたのを覚えています

この時に僕の人生は決まったのです

■百年の家プロジェクト

僕は住宅資材を売っていましたから、それまで自分の会社から資材が売れるようにハウスメーカーじゃなく、ビックビルダーでもなく、地元の工務店さんで家を建ててくれればいいのにと勝手に思っていました

しかしシックハウス問題を通じて尊敬する棟梁に出会い、聖職の志に触れ、こんな棟梁のような工務店がもっと増えて欲しい、そうすればもっと地域の工務店はハウスメーカーにも負けないはず。ハウスメーカーより地元の工務店を選ぶ人が増えるはずと思いました。
優秀な棟梁をもっと増やせば、そこで建てたご家族も安心して暮らせる
これが僕の仕事となりました

■家守りの復活

阪神淡路大震災以降、日本では5~6年おきに大地震が起こっています
起こる度に、必ず直ぐに現地視察に向かいます。
その理由はひとつで、「自分が建てた家の結果がわかるから」

この数十年間、家を建てる人の関心事の上位には必ず地震対策が入っています。
「地震が起こったらどうなるの、倒れない?大丈夫?」との問いに、
どんな人でも家を売ってる人全員が、「大丈夫です」と答えますが、
実際どうなるかを本当に知っている人は、自分の建てている地区で大地震が起こった人だけです

この道50年の工務店でも、自分の建てた家が熊本地震にみまわれたらどうなるか分からないけど、大丈夫と言うのが現実。
でも現地にいけばその答えがあります

現地に行くと必ず感動することに出会います
それは、工務店が、近所の家の屋根にブルーシートを掛けて忙しく走り回っている光景です。
彼らは自分の家も作業場も被災しているのに、お客さんや近所の困っている人を優先に手を差し伸べて必死で復興に力を貸しておられます

家守りは、地域防災の要です

大変申し訳ないですが、そんな時、ハウスメーカーの営業マンは何をしているんでしょう?
避難所で待機しているしかないのですが、家を建てた人にどうしてそこに決めたか?のアンケートをとると必ず1位になるのが、営業マンが良かったからなのです。

営業マンは請負契約書にハンコを押したら、もう仕事は終了で、メンテナンスでも会いません。
その家に一生住むのに、ハンコを押すためだけに派遣された人が良かったから決めるなんてどうかしていると思いませんか?
自分や家族が家の事で困ったときに、助けてくれる。これが「家守り(いえもり)」です

ハウスメーカーさんは企業構造から何もできないのはわかっていますが、
本当に災害に遭った時、頼りになるのは、絶対に近くの工務店です
ハウスメーカーばかりで家が建ってしまい、工務店が居なくなった町は一体どうするんでしょうか?

家守りは、地域防災の要です
多くの工務店は、消防団に入っていますし、そもそも工務店のDNAには地域を守ることが刻まれていると僕は思っています

ただし、工務店さんは会社によって差が大きいです
ハウスメーカーなら全国どこで建てても同じような家が建ちますが、工務店はどこで建てるかで、全く違う家になってしまいます。

殆どの人は、同じ図面なら同じ家が建つと思っているのですが、戸建て住宅の実態はそうではありません。
建築家に頼めば大丈夫というのは無いということです
ハウスメーカーでも建売でも設計事務所に頼んでも、実際に家を建てるのは工務店です。

耐震金物の付け方、断熱材の入れ方、防湿の仕方、どれをとっても100点満点で、0点~1000点くらいの差があります

建築基準法違反のまま引渡しになっている家も、実際は相当数あると僕は思っています

■選ばれる家守り

これからも地域を守る工務店を継続経営していくには、いくつか条件があると考えています
品質はもちろん大切ですが、これはやる気さえあれば簡単にチェックできます。

大きな課題は、ハウスメーカーより建築家よりビッグビルダーよりいい家を建てる事です。
安くていい家を建てることを目標にしている人も沢山いますが、いままでそれで上手くいっている会社を僕は見たことがありません。

工務店は必要な手間暇かけて建てるのですから手間暇をやめて自分の給料も減らして安くしてもしょうがないと思います。
市場には既にローコストメーカーさんがいるのですから、そういうお客様はお任せすればいいのです

いい家の基準が変わりつつあるこの時代は、手に技術を持っている工務店にとって大きなチャンスだと思います

カッコ良さも使いやすさも家づくりにはもちろん大事なのですが、
優先順位の一番は、健康で長生きできる家であること

先述したように、どんな家に住むかで寿命が変わってしまう、人生が変わってしまう時代です
その家に百年も住むのなら、建てる人も選ぶ人も責任は重大です

国土交通省も充分そんなことはわかっていて、一生懸命、日本の住宅の性能基準を上げようとしていますが、大人の事情か何処かからの圧力か?なかなか上手くいかないようです。

業界が受け入れてくれない高性能住宅の義務化は、告知義務に変わりました。
性能が悪い家の場合、2021年4月から「性能は4段階あって、うちはその中の一番下です。」って言わなきゃいけなくなるので、みんな性能を上げてくれるんじゃないか?的な希望的観測の施策です

でも知らない人が多いのですが、その4段階の一番上の基準でもヨーロッパでは最低基準です
たぶん先進国で一番寒い家に住んでいるのが日本ではないかと思っています

それがこの国の家づくりにおいて、正にこのコロナ渦において、
大きく変えていくべき方向性です

悩める家守り

工務店さんでも悩んでいる人が沢山います
工務店を経営しているけど、厳しくてなかなか上手くいかない。
息子がもうじき卒業するけど、稼業を継がせるか悩んでいる。
自分と同じ苦労はさせたくない

工務店には塾や学校がないのです
困ったときに相談できるところがない
ローコストやるのに500万出させるFCとか、数字しかみないコンサルタントとか、
このSNS全盛期にWEBマーケティングのノウハウは誰も教えてくれない

自分のお客様を守る家守りとして、
ハウスメーカーにも有名設計事務所にもできないダントツな高性能を当たり前に装備し、
見たこともないデザインでカッコ良く可愛い家を建てるなら、地域から必要とされると思います

またどんなにいい家を建てる技術を持っていても
建てたい人に見つけてもらわなければ建てられません
マーケティングの手法は時代によって変わりますが、
これも永続的経営の重要ポイントです
それが出来るようになること、WEBできちんとシェアを得られることが重要です