金物を結露させるな地震対策 2

世界中で地震が起こる度にたくさんの犠牲者が出てしまうのには大きな原因があります。

それは家というものは元来、その近くにある材料で作ってきたことです。

運よく近くに木があった日本は木で家を建ててきました。近くに岩があった場所では、切り出した石を積み上げて作りましたし、木も岩もない場所では、砂を固めて焼いたレンガを積み上げて作りました。ヨーロッパは石積みの街、南米を始めとする多くの国ではレンガ積みが当たり前です。

そこに地震が起こり、石やレンガを積んだだけの家は瓦礫のように崩れてしまいますが、他に材料がないので、また同じ家を作るという繰り返されてきた歴史です。

組積造は必ず礫のようになってしまうので、助けようがありませんが、その点、木の家はまだ倒壊しても隙間ができやすいし、今の技術なら、倒壊せずに持ちこたえることが可能です。そうして日本の家は大きな地震が起こる度に建築基準法を変えて、より強く変わってきました。

 

しかし昨今、耐震性能だけでなく、省エネ性能を上げるために断熱力を向上した住宅が増えてきました。ここで国土交通省が以前から言う通り、断熱性能と気密性能を同時に上げれば問題はないのですが、ここに一つ問題があります。

気密を取るべき大きな理由は、断熱材の中に水蒸気が入っていかないことなので、水蒸気の気密が必要。

でも実際に気密測定をする時は、空気を排気して家の内外の圧力差で測定するので、気密とは空気のことだと思っている人が殆ど。

空気が漏れないレベルと水蒸気が漏れないレベルは素材の差だけで40倍以上違います。

気密性能が高いと自負しているメーカーさんでも、水蒸気の気密がとれてません。つまり空気は漏れてないけど、水蒸気はどんどん通過している家が急増しています。

 

断熱材が濡れると断熱力がなくなりますので、家がどんどん寒くなりますが、それはまだ暖房費がかさむだけで済みます。それよりも耐震のために付けているたくさんの金物が、断熱材が結露する位置とまったく同じ位置にあることで、断熱材よりも冷えやすい金物が最も結露しやすい場所にあり、木材を切り込んで小口につけてある場合などは、木の小口は表面の3倍水を吸うのでビールジョッキの表面に付くような大量の結露水を木材が吸うことになります。

 

それでなくても古い家は結露で構造材が腐って地震耐力がなくなるのに、地震に強くするために付けられた金物が、水蒸気を止めないばかりに、より多くの結露を起こさせることになってしまっています。

しかも厄介なことに、それは年々じわじわと進んでいくので、最初はわかりません。

さらに厄介なことに、水蒸気を止めずに空気だけ止めて金物使ったら結露するのは当たり前なのに、罰則規定はありません。

もっと厄介なことに、誰でも考えればわかるのに、この事実をプロの誰もが知りません。

省エネ時代の耐震住宅。水蒸気を止められる気密住宅でなければ、これを両立させることはできません。