「本当に暖かい家を建てたいなら、どこに頼めばいいですか?」と、よくご相談をいただきます。

大手ハウスメーカー、ローコスト住宅、建売、設計事務所、工務店。選択肢が多く、「結局どこが一番あったかいの?」と迷われる方がほとんどです。

実際の相談現場で私がお伝えしているのは、「会社の名前やブランド名より先に、見るべきものがあります」ということです。
この記事では、暖かい家を建てる工務店選びで本物を見抜く5つの質問をお話しします。

あったかい家はどこで建てる?よくある選択肢の整理

まず、会社の種類ごとの特徴を整理します。どこも「あったかい」と言いますが、その中身には差があります。

  • 大手ハウスメーカー:今は断熱性能が高く、お金をかければかなりのところまで行きます。標準化が強みです
  • ローコスト住宅:昔より断熱性能は上がっています。ただ、最初から決まった仕様で建てる形です
  • 建売:すでに完成しているので、その家を買う形になります
  • 設計事務所:設計の自由度は高いものの、実際に建てるのは別の会社です
  • 工務店:ものすごく幅が広く、ピンからキリまであります

工務店以外はすべて寒い、という話ではまったくありません。大手でもそこそこあったかい家は建ちます。

ただ、「そこそこあったかい家」と、「どの部屋に行っても温度差がなく、冬の間一度も寒いと感じない家」では、同じ「あったかいですよ」でも差は相当大きいのです。

実際の相談でよくある「チェックリストにして探せばいいですか?」という悩み

よく聞かれる声があります。

「百年の家®︎プロジェクトでやっていることを全部チェックリストにして、これを全部やってくれる工務店を探せば一番確実では?」

お気持ちはよく分かります。
でも私は、この探し方はおすすめしていません。

私たちが取り組んでいる仕様や考え方をそのままチェックリストにして地元の工務店に当てはめると、候補はほとんど残らないからです。

全国の工務店さんと一緒に研究し、取引をしてきた私の経験から、そう感じます。

思い込みの正体は、「知っている会社はそのまま建てられる会社」という考え方です。ここに大きな隔たりがあります。

専門家として私が「会社の名前より先に見るべきものがある」と考える3つの理由


1. 性能は「全部つなげて調整」して初めて決まるから

今はルール上、断熱材を厚くすることが求められています。ですが「断熱材を2倍にしました」「屋根だけ何倍かにしました」という話は、入り口の入り口にすぎません。

窓の選び方、気密、日射、換気、空調、間取り。これらは全部つながっています。

たとえば、断熱材を同じ厚さで入れても、隙間があれば寒くなります。すごくいい窓をつけても、間取りが悪ければ結露したり冬に寒かったりします。すごい空調機械を入れただけで、一年中すべての部屋が同じ温度になるわけでもありません。

性能は、商品として決められた範囲の中で選ぶよりも、この間取り、この家族に合わせて全部を調整していく方が強いのです。

大手は標準化が強みなので、「ここまではできるけど、ここから先は変えられない」「仕組みから外れたら保証はつきません」という形になります。そこまで自由にやれる可能性があるのは、対応力という点で工務店だけです。

2. 「知っていること」と「実際に建てられること」は別だから

最近はYouTubeや建築本もあり、断熱や気密に詳しい建築士さんも増えました。
20年前と比べると、知識を持つ人は圧倒的に増えたと思います。

ただ、住宅の難しいところは、知識だけでは気密の高い家は建たないということです。

「図面に書けばその通りに作ってもらえるのでは?」とよく聞かれますが、図面には書きようがないことがたくさんあります。
「隙間をつくらない」と注意書きを入れても、図面を見た施工する人が「これってどうやってやるの?」となってしまうのです。

断熱材を入れる前には準備が必要で、それをやっておかないと後で収まりません。その後に誰かが穴を開けたり、別の仕事のために断熱材をいじったりします。そのうち一人でも意味が分からないと、全部だめになってしまいます。

設計できる、計算できる、職人さんに伝えられる、現場で確認できる、検査できる。これが全部つながって、はじめて実物になります。どこか一つ切れると、狙った性能にはなりません。


3. 工務店は幅が広く、看板を見ても中身が分からないから

「あったかい家が欲しい人は工務店を選べばいい」と言うと、「それが一番危ない」ことになります。
工務店ならどこでも大丈夫だとという話ではないからです。

高気密高断熱を20年以上やっている工務店さんも工務店ですし、断熱基準が義務になってから吹き付けを始めた会社も、「高断熱でやっています」と言います。大工さん一人の会社も工務店で、年間100棟を建てる会社も工務店です。


この千差万別の中から選ばなければならないのが、難しいところです。
だからこそ、看板ではなく中身を確かめる質問が大切になります。

あったかい工務店を見抜く5つの質問

私が「百年の家®︎プロジェクトの地域ではない場合、どう探せばいいですか?」と聞かれたときにお伝えしているのは、完全なチェックリストではなく、その会社の履歴を見ることです。

質問1:5年前、10年前はどんな家を建てていましたか?

今だけ性能の高い家を建てているのか、ずっと続けてきたのかが分かります。

質問2:いつから気密測定をしていますか?

完成時の実測値(c値)をきちんと見せてもらえるか、完成後測っているかが大切です。
中間測定しかしていない会社もあります。要注意!

質問3:OBのお客様の声と光熱費を見せてもらえますか?

冬の暮らしのデータがあるかどうかも聞いてみてください。
実際に住んでいる方の声と数字が、一番の裏づけになります。

質問4:施工中の現場を見せてもらえますか?

完成した家だけでなく、工事の途中を見せられるかどうかも確かめましょう。

質問5:なぜこの仕様なのかを説明してもらえますか?

「なんでこの窓を使っているのですか」「どうしてこの換気システムなのですか」「なんでこの位置にエアコンなのですか」と聞いてみてください。意味があって選んでいれば、全部つながっているので答えられるはずです。

読者の不安に答える:工務店選びのQ&A

Q. 百年の家®︎プロジェクトと同じ会社を探すべきですか?

同じ会社を探すのではなく、ご自身の地域で、いちばん近い考え方と実績を持っている工務店を探すのがよいと思います。私たちがお風呂の天井をなくしたり、キッチンにレンジフードをつけなかったりできるのは、その前にたくさんのことを積み重ねているからです。そこだけをまねしても同じにはなりません。性能だけなら同じくらいの会社はあると思いますが、絶対にいますとは言い切れません。

Q. 隣の県の工務店に頼むのはだめですか?

よく「隣の県なのですが、来てくれませんか」と言っていただきます。ただ、遠くで建てるとメンテナンスが遠くなり、工務店が長く続けることが難しくなります。建てたい地域から半径1時間以内で建てられる会社を探すのがおすすめです。

まとめ:本当に暖かい家を建てれる会社かどうかを見極める家づくりを

本当にあったかい家が欲しいと思ったら、私の経験では、可能性があるのはやはり工務店さんです。ただし、工務店ならどこでもいいわけではなく、選ぶのが難しいのも事実です。

大手には大手の、ローコストにはローコストの強みがあります。そのうえで、自分の土地とこうして暮らしたいという思いがあり、暖かさ100点に近い家を建てたいなら、工務店の中から本当に暖かい家を建てれる会社を見極めることになります。

会社の名前やブランド名より先に、5つの質問で履歴と中身を確かめてみてください。家づくりのモノサシが一つ増えるはずです。

◆注文住宅マイスター:杉浦一広のプロフィール◆
百年の家®️プロジェクト代表
株式会社 ブルーシップ 代表取締役社長

20年で250社以上の工務店のコンサルティング実績を持つ
ただ一人の高気密高断熱コンサルタント

2004年 老舗木材屋の執行役員時代に、百年の家®️を発足。
2008年 独立起業 地域から支持されハウスメーカーより信頼される
「次世代工務店の育成」をライフワークとする。

アマゾン電子書籍 26部門1位&ベストセラー
『100年後悔しない家づくり』

◯百年の家®️プロジェクトとは?◯
世界トップレベルの高気密高断熱技術と暮らしやすさの両立を目的とした
地元工務店とユーザーのマッチング・ネットワークです。
「百歳まで謳歌する家づくり百年の家®️」を提唱。
百年の家®️メンバーが、全国地域で活躍しています。