新築を検討している方から「お風呂のカビ対策は、どうしたらいいですか」とよく質問されます。

世の中では「お風呂は窓を開けて換気扇を回して乾かすもの」と思われています。
ところが実際の相談現場で私がお伝えしているのは、「カビは掃除で戦うものではなく、生えない家を最初から設計するもの」ということです。

この記事では、カビが生える条件、お風呂の窓が実はカビを呼び込んでいる理由、そして今日からできる工夫まで順番にお話しします。

よくあるお風呂のカビ対策と、その限界

お風呂のカビ対策として、多くの方が次のようなことをされています。

  • 窓を開けて換気扇を回す:湿気を逃がして乾かすための、いちばん一般的な方法です。
  • カビ取り洗剤で掃除する:日本全国で売られていて、定番の対策になっています。
  • 浴室暖房乾燥機を入れる:お風呂の天井に付けて乾かす設備です。

それでも「何度退治しても、また生えてくる」という声はとても多いです。
黒カビは特にしつこく、ほうっておくとどんどん増えていきます。
ピンク色の赤カビが排水まわりにできてもすぐ消えますが、黒カビは手ごわい相手です。

実は、カビが生えるのはカビが生える環境があるからです。環境がそのままなら、どんなに退治しても生え続けます。

実際の相談でよくある「窓を開けているのにカビる」という悩み

相談では、こんなお話をよく聞きます。

「毎日、窓を開けて換気扇も回しているのに、黒カビがなくならないんです」

「カビ取り洗剤を使っても、すぐ戻ってしまいます」

ここで思い込みの正体は一つです。「窓を開けて換気すれば乾く」という考えです。
実際には、窓を開けて換気扇を回してカビが減ったという話を、私は聞いたことがありません。
減らないから、さらに開けてしまう。そんな状態になっている方が多いのです。

専門家として私が「お風呂に窓はつけない」と考える3つの理由

1. カビは「温度・湿度・餌」が揃うと生える

カビが生える条件は3つあります。カビの好む温度、カビの好む湿度、そしてカビが食べる餌です。
このうち1つでもなくせば、カビは生えません。

お風呂は餌が揃いやすい場所です。皮脂の油、ふけ、石けんのカス。シャンプーをした時に飛び散ったものも餌になります。

そして温度と湿度が揃うのは、実は入浴中ではありません。窓を開けて換気扇を回している時なのです。
入浴中はカビにとって適した状態を通り越しています。
その後、外の冷たい空気が入ってくることで、カビの好む温度と湿度になってしまうのです。

2. 窓を開けると、外の冷たい空気を引っ張ってしまう

家の中を暖房しているなら、暖かい家の中の空気を引っ張ったほうが乾くのは当たり前です。
それなのに、窓を開けるとわざわざ外の冷たい空気を引っ張ることになります。冷たい空気では乾きません。

カビを本当に減らしたいなら、窓は閉めて換気扇を回し、お風呂の入り口を開けます。
そうすると、リビングなどを暖房している暖かい空気がお風呂へ流れ、乾かしてくれます。

窓がある位置は、外に面した寒い場所です。冬は家の中が乾燥していて、暖かい場所にはカビは生えません。
寒くて湿っていて、結露しやすい場所だからカビが生えるのです。

3. お風呂の窓は、そこから腐りやすい急所になる

ユニットバスに窓をつける時は、窓の部分を切って、錆止めをして、窓と内側の壁の間をプラスチックのような部材で橋渡しします。この部分の外側には、断熱がされていません。

ここは一番結露しやすい場所です。
その下の土台が濡れても乾かず、壁の中の木や、それを支える木まで傷んでいきます。
普通の窓ではそうならなくても、ユニットバスにつけた窓は急所になります。

私たちが作る家では、窓をつけません。お風呂を、家の中心の暖かい場所に置きます。
部屋の一角にお風呂があるような間取りにすれば、暖房された空気がお風呂へ届くので、カビは生えません。

家全体をトータルで設計することが前提ですが、お風呂の天井をとって吹き抜けにすることもあります。
家の中で誰かがシャワーを浴びると、家の中の湿度は10%ぐらい上がります。
冬はその水蒸気を換気扇で外に捨てるのではなく、家の中の保湿に活かせます。

読者の不安に答える:お風呂のカビに関するQ&A

Q. 今の家でできるカビ対策はありますか?

まず窓は開けないでください。その日の一番最後に入る人が、給湯の温度を一番高くして、やけどしない程度の熱いお湯を壁の上からかけます。お湯で皮脂や石けんのカスといった餌を流すためです。

そしてお風呂から出る時は、換気扇を回して入り口を開けます。リビングの暖かい空気を引っ張ってくると、カビは減っていきます。人が入っている時だけドアを閉めます。

Q. 窓なしに加えて、吹き抜けも真似していいですか?

窓をやめることはできると思います。ただ、お風呂を家の中心に置く、吹き抜けにするといった設計は、にわか知識で真似すると、寒くて入れなくなったり、カビだらけになったりします。家全体の熱や水蒸気のバランスを計算できる設計者でないと難しいです。

まとめ:カビが生えない家づくりを

お風呂のカビは、生えるべくして生えています。窓を開けて換気扇を回しても、環境が変わらないかぎりカビは戻ってきます。
外壁に面した寒い場所のお風呂は、ヒートショックの心配もあります。

注文住宅なら、設計の段階で最初から原因を取り除けます。お風呂の位置、窓、家全体の暖かさ。カビが生える家と生えない家の違いは、そこにあります。

家づくりの参考にしていただければ幸いです。

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◆注文住宅マイスター:杉浦一広のプロフィール◆
百年の家®️プロジェクト代表
株式会社 ブルーシップ 代表取締役社長

20年で250社以上の工務店のコンサルティング実績を持つ
ただ一人の高気密高断熱コンサルタント

2004年 老舗木材屋の執行役員時代に、百年の家®️を発足。
2008年 独立起業 地域から支持されハウスメーカーより信頼される
「次世代工務店の育成」をライフワークとする。

アマゾン電子書籍 26部門1位&ベストセラー
『100年後悔しない家づくり』

◯百年の家®️プロジェクトとは?◯
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