
運動靴と断熱材の意外な共通点
〜加水分解が家と足元に与える影響〜
1. 断熱と防湿は「家の服」
- 人の体温管理には「服」が不可欠
- 家にとっての服は「断熱」と「防湿」
- 寒い家は、家の中でもさらに「服」が必要になる
人間は暑い地域では裸でも過ごせますが、寒冷地では衣服がないと命に関わります。同じように、家も外気から身を守る「服」が必要です。それが断熱と防湿です。
このどちらも欠けた家では、外と室内の温度差が生まれず、家の中でも厚着を強いられます。つまり、家の性能によって人の健康や快適さは大きく左右されるのです。
2. 裸でも快適な家とは?
- 適切な断熱・防湿+暖房=南国のような快適さ
- 実は「服」はストレスになる
- 家が快適なら、服も必要ないほどリラックスできる
断熱と防湿が適切に施された家は、少しの暖房でも室温を南国のように保つことができます。子どもがすぐ服を脱ぎたがるのは、服が本能的にストレスになるから。つまり、家が快適なら、体も自然とリラックスできるのです。
3. 断熱と防湿は「交換できない服」
- 服は買い替えられるが、家の防湿・断熱は簡単に交換できない
- 高温多湿な日本では、耐久性が命
- 素材選びが住環境の寿命を左右する
人が着る服は毎日着替えられますが、家の断熱材は一度施工すると簡単には交換できません。しかも、温度や湿度の変化にさらされ続けるため、耐久性のある素材を選ばなければ、住まいの寿命そのものを縮めかねません。
4. 日本にウレタン断熱が入ってきた頃
- ドイツ発、発泡ウレタンの現場施工が日本へ
- 初期は「防湿が必須」とされていた
- だが、防湿の手間で敬遠されがちだった
約20年前、ドイツで広まった発泡ウレタン断熱が日本でも採用され始めました。当初は「防湿が必須」とメーカーも明言していましたが、防湿層を張る工程が大工にとっては手間であり、不人気な断熱材でもありました。
5. 時代とともに「防湿不要」に?
- ZEHの普及で断熱は標準に
- 現場吹き付けウレタンの人気が急上昇
- いつの間にか「防湿不要」が当たり前に?
2020年以降、ZEH基準の普及で日本の家づくりも断熱が必須となり、現場で手軽に吹き付けできるウレタン断熱材が急速に普及しました。しかし、当初の「防湿が必須」という原則は忘れ去られ、「防湿不要」と謳うメーカーまで登場しています。
6. 靴の加水分解が教えてくれること
- ウレタンは水分で劣化する
- 靴底の剥がれ=加水分解の結果
- それを避けるため、アルミシートで防湿加工された製品も存在
誰もが経験したことのある「靴底がベロッと剥がれる」現象。これは加水分解という化学反応で、素材が水分を含むことにより崩壊するものです。
同じウレタン素材でも、アキレス社のように住宅用断熱材「アキレスボード」では両面にアルミを貼って防湿対策をしています。つまり、ウレタンは本来「防湿が必要」な素材なのです。
7. なぜ見えない場所なら許されるのか?
- 壁の中なら劣化してもいい?
- 加水分解の原因は「給放湿」
- 本来は絶対に防ぐべきリスク
現場で吹き付けるウレタン断熱材の中には、「湿気を吸って放つから快適」などとうたう製品があります。しかし、それこそが加水分解を引き起こす原因です。
実際、私が購入したウレタン底の雪駄も、1年ちょっとで底が剥がれてしまいました。見えないからといって、家の中で同じことが起きていいはずはありません。
8. まとめ|「履き潰れる断熱材」を使わないために
- ウレタン=便利でも劣化しやすい素材
- 防湿の原則を忘れてはいけない
- 人の靴と同じように、家の素材も“長持ち設計”を
断熱材にとっても、素材の「加水分解」は致命的です。運動靴や雪駄のように1年でダメになる素材を、家に何十年も使って良いわけがありません。防湿は「手間」ではなく、「命を守るための当たり前の配慮」。その本質を、もう一度見直す時期に来ているのではないでしょうか。
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