百年の家プロジェクトの冬期目標環境は、「室温23度、脱衣場26度、相対湿度50%前後、床の表面温度22度以上、ひと冬の間にどの部屋も一度も20度以下にならない」
命と財産を守るため、日本には建築基準法というものがあり、時代に合わせて変化してきました。今までの百年間で起きた大地震で亡くなられた方は十二万八千二百五十八名で、一年間平均では千二百八十二人。大きな被害が出るたびに、耐震の基準もこれまでに2回大きく変更され、現在建てられている住宅は随分丈夫になりました。
そして寒い冬を迎えるにあたり、もうひとつ注目したい数字は、過去10年間お風呂の溺死で亡くなられた方が四万四百十名、一年間の平均は四千四十一名。溺死の古いデータはありませんが、昔はお風呂も家の外にあったような環境ですので今よりも多いと予想できるとすれば、地震よりも3倍以上の死亡者を毎年出しつづける原因をずっと放置していたことになります。
イギリス政府は二〇一〇年から国民向けに「冬は21度以上に暖房するように」指導を始めました。家が寒いと脳卒中、心筋梗塞、肺炎で死亡する確率が上がることが研究で分かったからで、暖房しても温かく住めない家を賃貸している大家には罰金も含めた強い指導があります。
ヒートショックが注目されたことで最近になって日本でも家が寒いことの危険性をようやく認識し、法制化の前段階の原因究明や対策などの研究が進んできました。
実はチーズ君が指摘している高血圧だけでなく、
「栃木県の夏に比べて冬の死亡者数の増加率は北海道の2.5倍」
「寒い家に10年住むと温かい家に比べて高血圧の発病確率が6.7倍」
「寒い家に4年住むと温かい家に比べて循環器疾患死亡確率が4.3倍」
「寒い家に住んでいる人は暖かい家に比べて脳神経線維が6歳老化」
「寒い家に住んでいる人は暖かい家に比べて健康寿命が4歳短い」
「寒い介護施設に入所している人は暖かい介護施設に比べて要介護度が1.5倍悪化」
「湿潤な介護施設に入所している人は乾燥している介護施設に比べて要介護度が2.0倍悪化」
「幼稚園と自宅が寒い園児は幼稚園と自宅が温かい園児に比べて病欠が2.6倍多い」
このような最新の研究結果から、
「寒い家は万病のもと」「健康で長生きするには温かく住むことが最低条件」がわかります。
日本では二〇二〇年に新しい省エネ基準が義務化され、寒い家は建てられなくなりますが、ここで重要なのは、性能の良い家=温かい家ではありません。温かい家とは暖房する家のことで実は性能は関係ないのです。性能が良い家も悪い家も暖房さえすれば、今から温かく住むことが出来ます。
つまり、家族全員が健康で長生きするために家全体を暖房し温かく暮らした時にいくら掛かるか?が本当の家の性能なのです。
暖房しても室温が20度以下だったら、その暖房費がたとえ安い家でも何の意味もないのです。
岡崎市で新築注文住宅なら百年の家
杉浦一広