「家事ラクな家にしたいので、家事動線を短くした間取りにしたいんです」とよく質問されます。
洗面所とキッチンを近づける、ぐるぐる回れる回遊動線にする。家事ラクといえば間取りの工夫、と考えている方はとても多いと思います。
実際の相談現場で私がお伝えしているのは、「家事ラクには4つのレベルがあって、間取りの工夫は下から2つ目です」ということです。
この記事では、4つのレベルと、その先にある本当の目的をお話しします。
よくある家事ラクの考え方:設備と間取り
家事ラクとして多くの方が思い浮かべるのは、次の2つではないでしょうか。私はこれを、レベル1とレベル2と呼んでいます。
レベル1:お金で買える設備

- 食洗機:国産は幅45cmが多く、フライパンや家族全員の1日分の食器が入りきらないことがあります。入りきらない分を手で洗うと、かえって手間が増えます。海外製の60cmのフロントオープンなら、夜に全部入れてボタンを押すだけで、朝にはピカピカになります。
- ロボット掃除機:機械を買えば、床掃除はとても楽にきれいになります。
- 乾燥機:洗濯物を乾かす手間を機械に任せられます。
どれも、建てる家の性能や工夫に関係なく、家電販売店で買えばすぐに使えます。注文住宅でもマンションでも同じです。
レベル2:間取りで便利にする

- 家事動線:洗濯から調理までの距離を短くします。
- 回遊動線:行き止まりをなくし、ぐるぐる回れるようにします。
ここでようやく間取りの話になります。SNSでもよく見かけますし、確かに便利です。
基本中の基本で、取り入れて悪いことはありません。
実際の相談でよくある「間取りを工夫すれば家事ラクになるはず」という悩み
相談では、「家事動線を短くすれば、毎日の家事がずいぶん楽になりますよね」というお声をよく聞きます。
ここで少し立ち止まって考えてみてください。動線が短くなると、洗濯から調理に行くまでの歩数は10歩から2歩になるかもしれません。
ところが、洗濯物を干して、取り込んで、畳んでしまう作業の量自体は、1mmも減っていません。
減ったのは移動の時間だけです。これが、間取りの工夫が下から2つ目のレベルだと私が考える理由です。
「便利になった」と感じても、家事の負担そのものが消えたわけではないのです。
レベル3:家の性能が、家事のスピードを変えるレベル3
レベル3は、「こんなに早く終わるの」と感じるレベルです。家の性能がもたらす家事ラクです。

私たちの家では、ベランダをつけません。洗濯物は室内で干します。
普通の部屋干しは乾くのが遅い、生乾きの匂いが気になる、と心配になりますよね。
ところが、気密・断熱・換気・冷暖房の4つがきちんとコントロールされた環境では、室内干しでも約5時間で乾きます。
夜に洗濯して干せば、朝にはバリッと乾いている、という暮らしです。
生乾きの匂いの原因は、モラクセラ菌です。乾燥に2時間以上かかると発生しやすく、一度繁殖すると洗っても取れず、捨てるしかなくなることもあります。早く乾く環境をつくれば、この菌を繁殖させず、匂いも出にくくなります。

さらに、干した場所がそのままクローゼットになる設計にしています。ハンガーにかけたまま収納できるので、畳む作業がありません。
干した時点で、ほぼ収納まで終わっています。天気を気にして急いで取り込む必要もなくなります。
毎日やる洗濯がぎゅっと短くなるのは、本当にうれしいものです。
レベル4:家事そのものが消えると、家族のストレスまで消える
最高到達点のレベル4は、「この家事、もう一生やらなくていいの?」というレベルです。
家事が楽になるのではなく、なくなります。

私たちの百年の家プロジェクトでは、たとえば次のような家事が消えます。
布団を干す家事:冬でも家の中が23〜25℃ほどあるので、分厚い掛け布団がなく、タオルケット1枚で眠れます。
敷布団はベッドの下に何も置かなければ、空気が通って自然に乾きます。

お風呂の黒カビ掃除:お風呂を吹き抜けにして、換気と乾燥がしっかりできるようにしています。
お風呂がじめじめするのは結露が原因なので、結露しにくい環境をつくり、湿気を効果的に排出して、カビが入る条件をなくします。
レンジフードの油汚れ掃除:IHクッキングヒーターにすると、レンジフードをつけなくてよくなります。
空気の流れを設計して、匂いや汚れた空気を発生源からすぐ外に出します。

衣替え:1年中家の中があたたかいので、夏も冬も同じTシャツと短パンで過ごせます。
衣装ケースの入れ替えも、収納スペースも減らせます。
掃除機の回数:ホコリは外から家の隙間を通って入ってきます。隙間がほとんどない家なら、外からのホコリの侵入を大きく減らせます。
ロボット掃除機で十分で、気になった時にかける程度で済みます。
なぜここまで家事ラクにこだわるのか。最終目的は、時間を増やすことだけではありません。
奥さんが毎日無意識に抱えている、3つのストレスをなくしたいのです。

- 肉体的なストレス:重い布団を運ぶ、洗剤が目に入らないよう上を向いて掃除するといった重労働。
- 天気に振り回されるストレス:雨が降りそうだから洗濯物を取り込まなきゃ、風が強くて飛ばされないかな、と出かけていても慌てて帰る。
- 家族間のイライラ:仕事から帰ると、取り込んだだけの洗濯物がソファに山積みで、家族はゲームに夢中。『なんで私ばっかり』という気持ちが、きつい言い方になってしまうことがあります。
この3つ目が、私は一番重要だと思っています。
家事にはストレスがくっついています。畳む洗濯物も、取る黒カビもなければ、イライラが生まれる理由そのものがなくなります。
家事を消すことで、家族の不毛な言い合いが減り、夫婦が仲良くなり、家族の笑顔が増える。
これが私たち百年の家®︎プロジェクトのやりたいことです。
読者の不安に答える:家事ラクに関するQ&A
Q. 間取りの工夫は意味がないのでしょうか?
意味はあります。家事動線や回遊動線は基本中の基本で、取り入れて悪いことはありません。ただ、それは4つのレベルの下から2つ目です。間取りで止まらず、性能で家事のスピードを上げ、さらに家事そのものをなくすところまで考えると、暮らしの楽さが大きく変わります。
Q. 室内干しで本当に生乾きの匂いが出ないのですか?
気密・断熱・換気・冷暖房の4つがきちんとコントロールされた環境であれば、室内干しでも約5時間で乾きます。匂いの原因のモラクセラ菌は、乾燥に2時間以上かかると発生しやすくなるので、早く乾く環境をつくることが大切です。
まとめ:家事ラクは、家族の平和と笑顔につながります
家事ラクの4つのレベルは、設備、間取り、性能、そして家事そのものの消滅です。世間では家事動線の話が中心ですが、これから家を建てる方には、ぜひレベル4を目指してほしいと思います。
建築士さんや住宅会社さんに、「この家で暮らすと、私はどれくらいストレスを感じることがありますか」と聞いてみてください。
間取り図を見て歩きやすさを確かめるだけでなく、そうした視点で相談してもらえると、家づくりが変わります。

家事の負担やプレッシャーから解放された分の時間を、自分のために使ったり、子どもとゆっくり遊んだりする。毎日少しずつでも、そんな時間があるのが、私たちの考える豊かな暮らしです。そのために性能があり、そのために私たちは家をつくっています。
もっと詳しい家の性能の話や、ストレスフリーな家のつくり方については、動画の概要欄にある公式LINEでお伝えしています。
百年の家®︎プロジェクトにご興味のある方は、ぜひご登録ください。
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◆注文住宅マイスター:杉浦一広のプロフィール◆
百年の家®️プロジェクト代表
株式会社 ブルーシップ 代表取締役社長
20年で250社以上の工務店のコンサルティング実績を持つ
ただ一人の高気密高断熱コンサルタント
2004年 老舗木材屋の執行役員時代に、百年の家®️を発足。
2008年 独立起業 地域から支持されハウスメーカーより信頼される
「次世代工務店の育成」をライフワークとする。
アマゾン電子書籍 26部門1位&ベストセラー
『100年後悔しない家づくり』
◯百年の家®️プロジェクトとは?◯
世界トップレベルの高気密高断熱技術と暮らしやすさの両立を目的とした
地元工務店とユーザーのマッチング・ネットワークです。
「百歳まで謳歌する家づくり百年の家®️」を提唱。
百年の家®️メンバーが、全国地域で活躍しています。





