PRESIDENT Online 20190311
プレジデントオンライン > 政治・社会 > 日本はいつまで”寒い家”を押し付けるのか

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日本はいつまで「寒い家」を押し付けるのか? より

検索して頂き、お読みいただきたい記事のひとつです
前先生は、三現主義でこういった文章をどんどん寄稿してもらいたい方のひとりです
でもこういった方がまだまだ少ないのは事実で、日本で温かい家は未だに非常識となっています
今回、見送られた義務化の内容は、岐阜森林文化アカデミーの辻先生の解説では、「人として最低限の暮らしをするための身体的見地から見た断熱の基準」なので、先進国として他国に恥ずかしい最低の温熱基準をさらに義務化さえしなかったということになります

※5年前にこれを義務化すると発表した時、聞いていたドイツ人に、今さらなんでこんな低い基準を日本は義務化するのかと鼻で笑われたと別件で聞いております

重要なのは気密ではなく「防湿」

さらに大切なことは、
断熱と気密が大切と文中に書いてありますが、防湿とは書いてありません
気密の本質は防湿であって、「水蒸気を止めること」、水蒸気を止められない気密などそもそも意味がないのです
水蒸気が透過していくのを簡単に測定することができないので、代わりに空気で計るようにしたのが気密測定
ハウスメーカーはもちろん、大学の教授でも、気密さえ取れればOKの人はたくさんいます

気密性能が高くても防湿できてないと、水蒸気は空気よりもかなり小さいので、水蒸気が家の天井や壁を通り抜け外へ出ていき、その途中で露点以下の温度になれば水に変わります
この結露が壁の中で起こります
そもそもこの結露を止めるために防湿が必要だったのに、測定方法についての理解が足りないことで空気さえ止めればOKだと思っている人のなんと多い事
だからハウスメーカーも多くの工務店も透湿する素材で気密を取っていいと思っている

繰り返される愚かな歴史

むかしむかしオイルショックの後、省エネのために北海道で家に断熱をし始めました
これはいいじゃん、あたたかいじゃんと言ってたら、突然家が腐り始めました
断熱だけして防湿しないと家が腐ることが分かったのがこの時点
これは科学的にも当たり前なことで、日本でも何度も何度も失敗が繰り返されている事実なのに、どうしてまた全国的に同じ失敗をしようとするのか
これでまた、全国に腐った家が増え、そして地震が来て倒壊する

大地震が起こる度に、古い家が倒れたとニュースがいう
見方を変えれば、築30年で腐ってしまうから倒壊する
この先、30年で建て替えを繰り返すなど出来ないだろう
今回の義務化でもそこまではるかな道のりがある
でも最初の一歩になるべきだった

僕らのやっている「防湿」は「繊細な技術と正しい知識」が必要な工事です
でもそれよりもっと必要なのは、「間違ったものは死んでも売らない」というプロ根性
まだまだマイノリティー決定なので、今後とも応援をお願いします